会津藩士「侍らしい侍」 侍タイムスリッパー、福島県内でも順次上映

11/11 08:00

過去からやって来た会津藩士が主人公の映画「侍タイムスリッパー」より(©2024未来映画社)

 幕末の会津藩士が現代にタイムスリップし、時代劇の「斬られ役」として活躍する自主制作映画「侍タイムスリッパー」が話題だ。県内では上映期間を延長したフォーラム福島(福島市)をはじめ、複数の映画館でも上映中の人気作品。主人公の「故郷」での好評を受け、安田淳一監督は福島民友新聞社の取材に「会津藩ゆかりの地で上映が広がっていることにうれしさを感じます」と話している。

 「主人公に」安田監督

 同作は東京・池袋の1館で8月に上映が始まり、質の高い演技や迫真の殺陣などが交流サイト(SNS)で人気となっている。作品名は今年の流行語大賞の候補にも選ばれた。

 主人公は山口馬木也(まきや)演じる会津藩士の高坂新左衛門で、現代で時代劇を初めて見て感動の涙を流し、自身もその道に足を踏み入れていく。劇中では、空腹で倒れ寺の住職に拾われて食事をとった時に、にぎり飯を磐梯山の峰に例えるなど、郷土愛の深い人物として描かれている。

 主人公を会津藩士にした理由について、安田監督は「不器用な誠実さを伴って幕府に尽くしたという会津藩士のイメージは、目前の利を取らず侍として取るべき道を選んだ侍らしい侍と思い、主人公にふさわしいと感じました」と明かす。

 戊辰戦争の悲劇 

 映画の後半、戊辰戦争によって古里で起こった悲劇を高坂が知り、物語は佳境を迎える。安田監督は「(県内には)長州に対して遺恨があるとも聞いていますが、本作を通して『お互い精いっぱい信じるところを生きたのだから、それで良いではないか』と、その気持ちが和らげば良いなと思います」と、作品に込めた思いを語った。(柳沼力樹)

         ◇

 県内の上映館次の通り。

上映中=フォーラム福島(福島市)、イオンシネマ福島(同)ポレポレシネマズいわき小名浜(いわき市)▽15日から上映=郡山テアトル(郡山市)、まちポレいわき(いわき市)

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