原子力規制庁は14日、東京電力福島第1原発の事故分析に関する会合で、2号機の試験的取り出しで回収した溶け落ちた核燃料(デブリ)について、核分裂反応に伴う放射性物質が確認されたため「核燃料の一部」との認識を示した。原子炉内では溶け落ちた燃料や金属などの構造物が不均一に混ざり固まっている。今回採取されたデブリは放射線量が低く、燃料がほとんど含まれていない可能性があった。
これまで東電は採取した位置などから核燃料を含んでいると判断していた。燃料に由来する物質を確認したことで、成分的にもデブリであることが裏付けられた形となった。
この日の会合で東電が、原発運転時の核分裂で生じる放射性物質「ユーロピウム」を検出したと説明した。東電によると、ウランが核分裂した際に生成される。デブリにはウランが含まれている可能性についても推定できるという。
原子力規制委員会の山中伸介委員長は「サンプリングできたことは重要な一歩だ」と評価した。さらに「今後の取り出しに関するデータを取るならば、もう少しサンプリングしてはどうか」と要望した。東電の担当者は「有意義だと思う。総合的に検討したい」と述べた。
日本原子力研究開発機構(JAEA)は14日午前、茨城県大洗町にあるJAEAの研究施設でエックス線を使いデブリの分析を始めた。全体を通して約1年で結果が取りまとまる見通し。