福島県喜多方市の登山愛好家でつくるエーデルワイス山岳会の会長を務める井上普さん(82)は10月末、群馬県の赤城山に登頂し「日本百名山」を踏破した。井上さんは「目標を達成し、達成感と安心感でいっぱい。足がすくむ経験をしたこともあったが、山に登ることが明日への活力となっていた」とこれまでの道のりを振り返る。
中2の夏に初登山
初めて登山に挑戦したのは中学2年の夏。教員に誘われ、友人と3人で磐梯山に登頂した。「山頂から見下ろした時に、これまでにない達成感があった」。高校、大学でも登山を続け、東京都内の商社などを経て26歳の時に喜多方市職員となった。山岳部に入り、仲間と共に県外の山にも挑戦した。
日本百名山の登頂達成を目標に掲げたのは、退職後の65歳の時。飯豊山の山頂手前で出会った、75歳を過ぎた男性の生き生きとした姿に「自分もこうなりたい」と刺激を受けた。これまでに登った山を数えると、日本百名山のうち65カ所は既に登っており、残る35カ所の登頂を目指した。
目標を定めてからは朝のウオーキングを日課とし、体力維持に努めた。エーデルワイス山岳会の仲間の協力も得ながら登山を続け、10月末に百名山登頂の目標を達成した。「働いていた時はいかに短時間で登るかを重視していたが、退職後はマイペースに楽しく山登りができるようになった。周囲の支えがあり、達成できた」
記念バッジ収集も
10年前から日本百名山の登頂記念バッジを集めており、今後は残る約30個の収集を目指す。「もう一度登りたい山もたくさんある。自分も挑戦を続け、誰かの励みになる存在になれたら」。新たな目標に向けて目を輝かせた。(阿部二千翔)