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【2月10日付社説】記録的な大雪/安全最優先で乗り越えたい

2025/02/11 08:05

 降雪は峠を越えたとはいえ、移動時や除雪作業などは常に危険が伴う。一人一人が安全を最優先に心がけることが大切だ。

 今季一番の強い寒気の影響で、日本海側を中心に記録的な大雪に見舞われた。県内は会津地方などで断続的に雪が降り続き、金山町で積雪量の最大値が235センチに達したほか、会津若松市も120センチとなり、いずれも統計開始以降の記録を更新した。

 積雪による被害や除雪作業中の事故が相次いでいる。会津美里町では77歳女性が住宅の軒下で、下半身が雪に埋もれた状態で発見され、搬送先の病院で亡くなった。

 屋根の雪下ろし作業は特に危険だ。作業は複数人で行い、家の周りでも屋根から崩れ落ちる雪や、雪に埋もれている側溝などに注意を払う必要がある。やむを得ず1人で作業する際は周囲の人に必ず声をかけ、落雪などに巻き込まれても連絡できるよう、携帯電話を肌身離さず持っておきたい。

 会津地方は自力で除雪などを行うことが困難な1人暮らしの高齢者が多い。今回のように一気に大量の雪が降ると、玄関などの入り口がふさがれている恐れもある。近所の人などが見回り、早急に屋根などの除雪が必要であれば自治体に連絡してほしい。

 急ピッチで除雪が進められているものの、路面状況が悪い道路や道幅が狭い箇所、雪に埋まって通行できない歩道などがある。運転者は速度を抑え、急ブレーキを踏まないことが鉄則だ。歩行者が車道を歩かなければならない際は慌てず、転倒などに気をつけよう。

 気温が上がると、傾斜地などでは雪崩が起きやすい。雪解けによる地滑りの発生も懸念される。福島市土湯温泉では雪崩が発生して県道をふさぎ、野地温泉の旅館の宿泊客らが一時孤立した。除雪後も再び雪崩が発生するなど危険な状況が続いている。

 特に厳冬期は、積もっていた古い雪の上に新たに積もった雪が滑り落ちる「表層雪崩」を警戒しなければならない。自宅のそばに傾斜地がある場合は、斜面の雪の状況を注視し、何らかの前兆が確認できたら早急に避難してほしい。

 ビニールハウスの倒壊なども確認されている。自治体や関係機関は被害実態を把握し、これから本格化する農作業に支障が出ないよう対応を急ぐ必要がある。

 県は会津17市町村と郡山市、天栄村に災害救助法を適用した。大雪による同法の適用は62年ぶりで、市町村の除排雪経費などが補助される。国には適用範囲などについて柔軟な対応を求めたい。

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