南相馬市のベンチャー企業Zip Infrastructure(ジップ・インフラストラクチャー)は南相馬市原町区の福島ロボットテストフィールド近くに、同社が開発を進めている自走式ロープウェーの試験線を完成させた。本格的な実証試験を進め、2033年の公共交通手段としての実用化を目指す。
同社の自走式ロープウェー「ジッパー」は電気自動車を基にしたバッテリーを動力源に、直線では2本のロープ、カーブなどではレールを無人走行する。交通渋滞や人手不足の解消が期待されるほか、モノレールなどと比べて建設コストが安いため、新たな交通手段として注目されている。
完成した試験線は長さ約40メートルのレール部分。実用化の際と同様の規格で建設し橋に近い強度を実現した。今後は技術面に加えて天候による影響、トラブル時の対応などを確認する。定員は12人で、最高時速は約36キロ。12秒に1回の高頻度で運行させたい考え。ロープ部分の長さ約80メートルの建設も進めており、来春の完成を目指す。隣接する福島ロボットテストフィールドへの試験線の延伸も検討する。
28年には公園や工場など私有地への導入を目標とする。公共交通としては宮城県富谷市など複数の自治体が関心を寄せているといい、33年の提供を目指す。
開所式が28日、現地で行われ、関係者らが試乗した。須知高匡代表(28)は「ようやくここまで来られた。技術開発と事業開発を一丸になって頑張っていきたい」と述べた。
