きょうは国際女性デーだ。女性の地位向上や権利拡大はもとより、企業や地域をより良くするために、ジェンダー平等の実現を考える契機としたい。
国際女性デーに合わせて都道府県版ジェンダー・ギャップ指数が公表された。政治、行政、教育、経済の4分野のうち、本県の順位は政治が39位、教育が46位だった。3年前に初めて公表されて以降、順位は低迷したままだ。
行政と経済はいずれも20位台だったものの、指標の一つである県庁の女性管理職の数が男性の1割強にとどまるなど、男女平等に程遠い項目は多い。別の男女平等の国際ランキングで後進国の日本にあって、後進地域に位置するのが本県の現状といえる。
本県でも同性カップルを公的に証明する制度を始めた自治体があったり、地域で働く外国人を目にする機会が増えたりしているように、社会は多様化の流れにある。ジェンダー平等は多様な価値観を構成する重要な要素の一つだ。
女性の視点が乏しいと、変化する地域の課題や市場ニーズを見落とす恐れがある。個人の能力を生かせない企業、住みにくい地域からは女性らが離れていく。男女格差の是正が急務だ。
女性管理職の少なさは県庁や市町村の役場のみならず、企業などに共通する課題だ。腰を据えて取り組めば自然と女性管理職が育つという問題ではなく、男性の長時間労働を前提とした働き方や昇進の仕組みなどを変えていく必要性が指摘されている。
ジェンダー・ギャップ指数をまとめた三浦まり上智大教授は「子どもの成長する姿を見るのは人生の喜び。つらい企業に残るより、子育ての方がいいと価値観が変わる女性は多い」と話す。育児休業から復帰しても、疲弊する上司を見て昇進意欲が下がるという。
三浦氏が課題解決の方策の一つに挙げるのが、20代から管理職になるための経験を積ませることだ。出産や育児で生じるブランクをあらかじめ埋めることにより、女性が復帰後にも管理職を目指しやすくする効果が期待される。
女性と男性ではライフイベントや価値観が異なる。役場や企業などは、性差にきめ細かく対処し、女性がモチベーションを高められる組織をつくることが重要だ。
「女性が組織をまとめるのは難しい」など根拠のない偏見が、女性に苦手意識を植え付け、挑戦をためらわせるとの指摘もある。幅広い分野に女性が参画できるよう、社会全体で公正に評価する意識を醸成する必要がある。