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【4月25日付社説】こどもの読書週間/大人と一緒に楽しむ機会を

2025/04/25 08:05

 小さい子どもは大人が楽しそうにしていることをまねしたがる。5月12日まで「こどもの読書週間」だ。本を読む楽しさを子どもが体感するきっかけを、大人がつくっていきたい。

 県教委の児童生徒を対象にした読書調査によると、1カ月の平均読書冊数は小学生11・6冊、中学生2・7冊、高校生は1・5冊だった。年齢が上がるほど読書量は減る傾向にある。

 月に1冊も読まない児童生徒の割合は、小学生が1・6%と低いものの、中学生で12・3%となり、高校生は44・4%に上る。小学生は「テレビ・ゲームなどの方が楽しい」、中学生と高校生は「スマートフォン、携帯などの方が楽しい」が、本を読まない理由の上位にある。

 文化庁の国語世論調査では、1カ月に1冊も本を読まない人の割合が成人を含め6割を超えている。その理由で最も多いのも「スマートフォン、携帯などで時間がとられる」となっている。

 子は親の鏡だ。本を読まない保護者が、思考力や想像力を伸ばすなどと読書を勧めても説得力はない。ただ「本を読もう」と言うだけでは、子どもは「本は読まなければいけないものだ」と義務的なものと考えてしまいかねない。保護者自身が本を読むことによって、日常生活が豊かなものとなるのを示すのが大切だ。

 子どもがいる家庭では、テレビを消し、大人もスマートフォンなどを手元から離して、一緒に読書する時間を設けてはどうだろう。

 読書のきっかけはいずれの年代も図書館、書店が大半を占めている。さまざまなジャンルの本がそろう図書館や書店は、子どもも大人も楽しめる場所だ。

 図書館の司書は、単に貸し出しの処理をしてくれるだけではなく、「子どもが一人で読み切れる本を」「こういうことが書いてある本はないか」などの相談にも応じてくれる。書店の店員も当然、本には詳しい。自分一人では見つけることがなかっただろう本に出合える可能性もある。書店などは減少傾向にあるが、こうした場所を訪れる機会を増やしていくことが重要となる。

 もう一つ勧めたいのが、子どもと同じ本を読んで、感想を伝えることだ。読書は野球や将棋を観戦するのと同じで、ルールや見どころなどを教えてもらうことで、より深く楽しめるようになる。子どもが読んでいる本の、なかなか気付けない面白さを伝えることで、読書からより多くの楽しみを見いだせるようにしてあげたい。

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