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【5月4日付社説】子どもたちに/聞く力と考える力を磨こう

2025/05/04 07:16

 戦争や米国など大きな国の身勝手な行動、人工知能(AI)の発達、減っていく人口―。世界も日本も、私たちの住む福島県も皆さんが大人になる頃にどのようになっているのか予測がとても難しくなっています。

 あすは「こどもの日」です。どんどん身の回りが変わっていくからこそ、子どもの皆さんには自分自身で考え、それを基に、ほかの人と話し合う力を身に付けてほしいと思います。

 世界では、隣同士のロシアとウクライナ、イスラエルとパレスチナ自治区ガザのグループが戦っています。皆さんと同じ子どもを含めて、多くの人が死んでいます。

 米国のトランプ大統領は、ほかの国から輸入する物に高い税金を上乗せすると言い出して、ほかの国を困らせています。戦争と、トランプ大統領に共通するのは、自分たちが正しいというのを疑わず、ほかの国や人の意見を聞こうとしないことです。人の話を聞かない人と仲良くするのが難しいというのは、皆さんも学校などで経験しているかもしれません。

 大切なのは相手の言葉を聞き、一緒に考えることです。それは国でも人でも同じです。皆さんも自分の考えを押しつけるのではなく、相手の言葉を聞く姿勢を持つようにしましょう。

 AIは、私たちの生活を大きく変えると言われています。人がたくさんの時間をかけていた仕事があっという間にできてしまうなど、とても優れています。

 AIはチェスなどのゲームで、人よりも強くなっています。それはこれまでのチェスの試合のデータを集めて勝つ可能性が高い手を選んでいるからです。しかし、私たちが生きているのは、さまざまなものが変化し、先の読めない世界です。これまでのデータだけでは、間違った判断をしてしまうかもしれません。

 例えば、福島県はこれからどんどん人口が減ると予想されています。そのようななかで、自分たちの暮らしを良くしていくための方法を考えるときに、参考になるデータは多くありません。だからAIがアイデアを出してくれたとしても、それがうまくいくかは分かりません。AIの提案に従うか、別の方法を試すのかを決めるのは私たち人間です。「本当にそれでいいのか」と考える力を身に付けていくのが大事になります。

 皆さんがこれから生きていく世界を平和でより良いものとしていくのは、皆さん自身です。学校での勉強や読書を通じて考える力を磨いていきましょう。

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