谷崎潤一郎は日本人の美意識を「陰影礼賛」につづり、近代化が進み陰がなくなってきたことを嘆いた。夏の夜の過ごし方についてはこう書く。「四方の雨戸を開け放って、真っ暗な中に蚊帳を吊(つ)ってころがっているのが涼を納(い)れる最上の法だと心得ている」 ▼かつてはどこの家にも蚊帳があった。本家に親戚が集まると、そこが子どもたちの遊び場になる。かなり大きなサイズで中に布団が敷かれているから、多少跳びは...
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