母の兄は硫黄島で戦死した。6人兄妹の長兄と、一回り年の離れた末の妹。出征直前に何でも好きな物をと言われ、田舎の駅前で、クリームソーダを飲んだ。兄の覚悟の時間か。幼い妹を見つめ続けていた ▼兄妹の母は毎晩、家族に内緒で裏木戸の鍵を開け、自慢の息子の帰還を待ちわびた。「恥ずかしがり屋だから」。玄関から入らず裏木戸から帰ってくると信じていた。懐かしいわが家に戻ったのは、名前の書かれた紙が入った箱だ...
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