福島県浜通りを舞台にした映画の企画案を競う「FFF(フクシマ・フィルム・フロンティア)アワード2025」の実行委員会は13日、浜通りのロケ地を巡る特別視察ツアーを開始した。映画・映像製作を志す若手クリエイターら20人が、東日本大震災で津波被害を受けた浪江町の震災遺構「請戸小」や、流失した社殿が再建された苕野(くさの)神社を訪れ、作品の構想を深めた。14日まで。
FFFアワードは震災と東京電力福島第1原発事故からの復興に向け、映画を通じた浜通りの魅力発信を目的に今年初めて開催。企画(脚本)の募集が8月に始まり、グランプリ作品には賞金100万円のほか、地元のフィルムコミッションなどでつくる実行委が、実際の映画化に向けた製作支援を行う。
ツアー初日は、参加者がロケ地として活用されている三崎公園(いわき市)のいわきマリンタワーや、遺構として保存されている大堀相馬焼・旧松永窯(浪江町)なども巡った。
東京都でライターをしている小野寺ひかりさん(35)は「請戸小では津波の恐ろしさを痛感した。長い将来を見据えて映画に落とし込みたい」と話した。14日は参加者が映画館「朝日座」(南相馬市)などを巡る。
実行委は30日まで、作品を募っている。映画監督の犬童一心さんと映画プロデューサーの小川真司さん、山本晃久さんらが審査員を務める。FFFアワードは経済産業省の「福島浜通り映像・芸術文化プロジェクト」の補助事業として開催される。