内堀雅雄知事は26日の定例記者会見で、福島県最低賃金の引き上げに対応する県内中小企業の支援に10億5600万円を計上する本年度一般会計補正予算案を発表した。県独自の支援策として、最低賃金の時給1033円以上を実現するために一定以上、賃金を増額した中小企業を対象に労働者1人当たり3万円を補助、県内経済への影響緩和を目指す。
15円以上増額が条件
本県の最低賃金は来年1月1日に現行から78円引き上げられ、1033円となる。引き上げ幅は過去最大で、初めて1000円を超える。県は長引く物価高騰による原材料費やエネルギー費などの上昇が続く中、人件費の上昇につながる最低賃金の大幅な引き上げは県内中小企業の経営に大きな影響を及ぼす恐れがあるとして支援を決めた。
来年1月1日までに雇用保険加入者の時給を1018円以下(9月5日時点)から1033円以上に引き上げた中小企業に対し、1人当たり3万円を補助する。引き上げ額が中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)の示した目安である63円に15円上乗せされたことを踏まえ、15円以上の増額を条件とした。
県によると、労働者約3万2千人が対象になる見込み。内堀知事は会見で「最低賃金の大幅な引き上げによる経営への影響を緩和し、雇用の維持を図っていきたい」と説明した。
補正予算案の総額は72億6600万円で、主な事業は【表】の通り。来年春の大型観光企画「ふくしまデスティネーションキャンペーン(DC)」に向けた海外からの誘客促進に2429万円を計上した。来年2月から5月にかけ、交流サイト(SNS)で発信力のある「インフルエンサー」を米国、豪州、台湾から招き、本県観光の魅力を伝えてもらう。
また、新たに承継・開業する診療所への支援には9230万円を計上した。昨年12月以降に開業・承継した診療所を対象に、本年度の赤字分の一部を補助し、医師確保を図る。補助率は、県内では比較的医療機関の充実している福島、郡山両市は3分の1以内、両市以外は3分の2以内とした。
内堀知事は12月9日開会予定の12月定例県議会に補正予算案を提出する。
