3年前の東京五輪は挫折を味わった。卓球男子の張本智和(21)は重圧に押しつぶされ、シングルスは4回戦敗退。団体銅メダルに貢献しても悔しさが募った。環境を変え、進化して挑む2度目の五輪。出場3種目へ「全ての種目でいいメダルを取れるように全力で頑張る」と静かに闘志を燃やす。
東京大会後は燃え尽きたように練習に身が入らない日々を送った。「金メダルを取るには、このままではいけない」。高校を卒業した同年春、練習環境が充実した木下グループを離れ、1人暮らしを始めた。「一番の転機」と語る瞬間だ。
練習場所や相手を自ら確保する必要に迫られる状況に身を置いた。自立心が芽生え、練習意欲が戻った。「人として大きく変わった。卓球以外で成長できた。それが卓球にもつながっている」と実感する。約2年続いた五輪シングルス代表の国内選考レースを独走し、エースの座を固めた。
「『前回の悔しかった経験を生かしてメダルを取れる』という簡単な場所ではない。盛り上がっている舞台をできるだけ楽しみたい」と語る。