【パリ共同】パリ五輪のレスリング男子グレコローマンスタイル87キロ級で、ウクライナのジャン・ベレニュク(33)が8日、銅メダルを獲得した。ウクライナの最高会議(議会)議員も務める国民的英雄。試合後に引退を表明し「ロシアとの戦争に勝つために全力を尽くす」と述べ、今後は政治活動に専念する意向を示した。
ベレニュクは、2016年のリオデジャネイロ五輪で銀、21年の東京五輪でウクライナ勢唯一の金メダルを獲得した。その後、競技を離れたが、22年2月のロシアによるウクライナ侵攻後「パリ五輪でウクライナの強さと存在を世界に示す」として再開した。
8日の3位決定戦に勝ったベレニュクは「日々ウクライナにミサイルが撃ち込まれる中で、五輪に出場できたのは軍のおかげだ。祖国を守ってくれた兵士に敬意を表する」とも語った。
ルワンダ人の父とウクライナ人の母との間に生まれ、父をルワンダ内戦で亡くした。首都キーウ(キエフ)で育ち、19年からゼレンスキー大統領の与党「国民の奉仕者」の最高会議議員を務めている。