【パリ共同】パリ五輪のアーティスティックスイミング(AS)でウクライナの双子、アレクシーワ姉妹が9日、デュエット・テクニカルルーティン(TR)に出場し、5位となった。演技のテーマは「戦争物語」だ。ロシアによる侵攻開始から約2年半。2人は「この暗黒の時期に何か前向きになれる方法を見つけようとした」と平和を願い、プールで舞った。
ウクライナに住む母がパリを訪れ、戦禍の中で結ばれた妹ウラディスラワの夫はオンライン放送で見守った。初出場でチームの銅メダルを勝ち取った東京五輪はコロナ禍で無観客だったが、今回は温かい応援を力に水面へ飛び込んだ。
厳かな音楽が流れ、緊張感が漂う前半は母国の現状を表現。出身地の東部ハリコフで親しんでいたプールは攻撃で破壊され、イタリアなどを転々としながら、練習を続けた。ハリコフでは、数分おきに爆撃音を聞いたこともある。「死ぬかも」と考えた回数は数知れない。恐怖におびえた経験を演技に込めた。
明るい曲調の後半は、いつか日常が戻る日を信じて2人は「ハッピーに」柔らかに演じた。