終戦から79年となった15日、政府主催の全国戦没者追悼式が東京都千代田区の日本武道館で行われた。参列者は先の大戦の犠牲者約310万人を悼み、戦禍の記憶と平和の尊さを胸に刻んだ。式は昨年まで新型コロナウイルスの感染防止のため参列規模を縮小して実施してきたが、今回は5年ぶりの通常開催。
厚生労働省によると、事前に参列意向を示した遺族は戦後生まれが約47%に上る。戦争を直接知る世代の高齢化は進み、記憶や教訓の継承の在り方が問われている。
9月の自民党総裁選への不出馬を表明した岸田文雄首相は3回目の参列。式辞では、安倍晋三元首相や菅義偉前首相と同様にアジア諸国への加害責任に触れなかった。昨年までの「積極的平和主義」の文言は使わず「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化を進め、世界が直面する課題の解決に全力で取り組む」と述べた。
正午の時報に合わせて全員が黙とう。天皇陛下は「過去を顧み、深い反省の上に立ち、再び戦争の惨禍が繰り返されぬことを切に願う」とのお言葉を読み上げられた。