旧優生保護法下の強制不妊手術を巡り、訴訟の原告側と政府は30日、再発防止のための第三者検証や、偏見差別の根絶に向けた協議の場の設置を柱とした恒久対策に関する基本合意書を締結した。全ての被害者への補償が実現するよう相談窓口の整備などによる周知徹底も盛り込んだ。
旧法を憲法違反とした7月の最高裁判決を受け、双方は9月13日、手術を受けた本人に国が1500万円の慰謝料を支払うことで合意。原告以外の被害者も対象とする補償の枠組みが固まる中、今回の基本合意により全面的な解決を目指す。
基本合意書では、不妊手術や人工妊娠中絶を強いられた被害者に陳謝。「疾病や障害の有無によって分け隔てられることなく尊厳が尊重される社会を実現すべく全力を尽くす」とした。
第三者機関による調査・検証と謝罪広告などでの名誉回復措置に加え、偏見差別をなくすための教育や啓発に取り組んでいくことを明記。全被害者に補償が行き届くよう、自治体による個別通知の事例を周知するなど方法を検討するとした。原告側と各府省庁による協議の場で具体化のための話し合いを行う。