能登半島地震は1日、発生から9カ月となった。復興へ向け少しずつ歩みを進めていた最中、記録的豪雨に見舞われた被災地の住民は疲労感をにじませていた。解体が進まず、元日のまま残った倒壊家屋。茶色い土砂に覆われた街並み。「あまりにひどい。やっと息をしている感じだ」。苦悩は深い。
地震被災者向けに整備された石川県輪島市宅田町の仮設住宅団地は、9月の豪雨で床上浸水した。居住困難となった団地は閑散。近所の小学校に身を寄せる津村健治さん(72)は、仮設住宅の復旧が終われば戻る予定だが「水害に遭ったらまた我慢しなければいけないのか」と頭を抱える。
地震で大規模火災に遭った輪島朝市は、県内外の商業施設などに出店し、なりわいを継続しようと努めてきた。そこに豪雨が追い打ちをかける。輪島塗を販売する竹原多鶴さん(57)は「9カ月がたち、前向きになった時の豪雨被害。心が折れそうだ」とこぼした。
地震後、被災地から離れる人が相次いだ。珠洲市の30代男性は「高齢化と人口流出をどうするのか」と憂えた。