【ジュネーブ共同】世界貿易機関(WTO)は19日、欧州連合(EU)の「炭素国境調整措置(国境炭素税)」が差別的な貿易制限に当たりWTOのルールに反するとして、ロシアがWTOに提訴したと発表した。
EUは2005年から、目標を上回って温室効果ガスの排出を削減できた企業の排出枠の余りを株式のように売買できる「排出量取引制度」を導入。その後、環境規制が緩やかな域外への企業流出や域外からの輸入といった抜け穴対策として、23年にこうした域外の国からの輸入品に事実上の関税を課す国境炭素税を導入した。
ロシアは、この措置がノルウェーやスイスなどを原産とする一部の輸入品には適用されていないと指摘。気候変動対策を口実に設定された貿易障壁だと主張している。