【ベルリン共同】二酸化炭素(CO2)を排出せずに製造するグリーン水素の活用を目指すドイツ企業「STOFF2」は2日までに、亜鉛を利用してエネルギーを蓄え、必要時に水素の形で取り出せる装置の試作機を公開した。水素生産とエネルギー貯蔵を一体化した装置は世界でも珍しい。資源豊富で安価な亜鉛を使い、貯蔵部の大容量化も可能で、低コストでの蓄電が期待できる。
太陽光や風力など自然条件次第で発電量が変動する再生可能エネルギーを主力電源にするには、蓄電を活用したバランス調整が重要になる。ドイツは国を挙げて水素技術の普及に取り組んでおり、同社は「需要に応じて水素を取り出せ、電力の安定供給につながる」と強調している。
太陽光や風力による発電がピークになる時間帯に、電力を使って亜鉛イオンを含んだ溶液から金属の亜鉛を生成(充電)する。化学的に元に戻す過程の中で水素を取り出す。余剰電力が無駄にならず、必要な時に水素を供給できる仕組み。余った電力をグリーン水素に変えて活用できれば、コスト低減や温暖化対策にもつながる。