【ローマ共同】1966年の静岡県一家4人殺害事件で死刑判決を受け、再審無罪が確定した袴田巌さん(89)の姉ひで子さん(92)が28日、イタリア・ローマで開催された国際会議で「弟の身に起きたことが、この世界から死刑や冤罪をなくすことにつながるよう、切に願います」と述べ、死刑廃止を訴えた。
袴田さんは拘禁症状や体調を考慮し、同行しなかった。ひで子さんはスピーチで、死刑が確定した1980年ごろ、拘置所で面会した袴田さんが「昨日処刑があった。隣の人だった」と興奮気味に話したと振り返り「『いつ執行されるのだろう』と毎日恐怖にさらされ、精神に異常を来した」と語った。2014年に再審開始決定を受け、釈放されて11年がたったが「いまだにまともな会話はできない」と説明。それでも再審無罪となり「大変幸せ」と笑みを見せた。
会場には世界各国の宗教者や学生ら100人超が集まり、立見の人もいた。ひで子さんがスピーチを終えると、大きな拍手が起きた。
