政府の有識者会議が近く公表する首都直下地震に関する新たな被害想定の素案概要が5日、判明した。マグニチュード(M)7・3の地震が起きると最悪の場合、1万8千人が死亡し、経済被害は83兆円と推計した。2013年の前回想定から死者数は5千人減、経済被害は12兆円減。住宅の耐震化や火災対策が一定程度進展したことを踏まえた。
15年に策定した対策推進基本計画では10年間で死者数を半減させる目標を掲げており、これには及ばなかった。政府は同計画を改定し、さらなる対策につなげる方針だ。
月内にも有識者会議を開き、被害想定を取りまとめるが、政府関係者は「まだ精査中で、数字が変わる可能性もある」としている。
素案概要によると、建物の全壊、焼失は40万棟。帰宅困難者は840万人とした。避難生活に伴う体調悪化などで生じる災害関連死について、過去の災害に基づいて初めて推計。最大1万6千~4万1千人と幅を持たせた想定となった。
中央省庁の業務再開に一定の制約が生じる可能性があると指摘した。
