『貞子vs伽椰子』『戦慄怪奇ワールド コワすぎ!』など、唯一無二の新感覚ホラー作品を数多く製作してきた白石晃士監督による映画『サユリ』(R15+)。白石監督は、「Jホラーの定番から変えたかった」と本作における挑戦を語っている。
【画像】7人家族が次々と…=映画『サユリ』(公開中)メイキング写真
23日より全国136館で公開され、3日間で動員6万250人、興行収入8387万2320円を記録。1館あたりのアベレージは61万6708円と高く、映画動員ランキング9位(興行通信社調べ)に初登場を果たした。
原作の押切蓮介氏のホラー漫画『サユリ 完全版』(幻冬舎コミックス)からして、「Jホラーはいつも人間側の負け戦」というイメージを覆すものだった。とある家族が夢のマイホームへと引っ越した途端、次々と不可解な現象に襲われ、一人ずつ死んでいく。呪いの根源は、この家に棲みつく少女の霊“サユリ”だった。残されたのは、中学3年生の則雄(南出凌嘉)とばあちゃん(根岸季衣)の2人だけになったとき、ばあちゃんが言い放つ。「いいか。ワシら二人でさっきのアレを、地獄送りにしてやるんじゃ!復讐じゃ!!」。物語は、壮絶な復讐劇へと転じていく。
映画オリジナルの展開も話題を呼んでいる。例えば、原作では髪の長い幼い少女の霊として描かれている“サユリ”。これまでの“Jホラーの幽霊”のイメージそのものだが、映画ではその姿形をあえて変えている。白石監督は「Jホラーの定番から変えたかった」と語っており、その一つが、サユリのビジュアルだった。
さらに、原作では描かれていないサユリの背景も見どころの一つとなっている。映画オリジナルの要素について白石監督は、「映画版のサユリのビジュアルを原作に準じると、髪の長い貞子の少女版に近くなってしまう気がしたんです。サユリはどうしてこのような存在になってしまったのかを考え、幼少期のサユリのエピソードにたどり着いた結果、ビジュアルも変えることにしました」と説明。
この点について、原作者の押切氏も「全然、違和感はなかったです。そこに関しては自由にやってもらいました」と認めている。サユリの背景に関して、「涙腺ポイントでしたね。彼女への同情の余地はあるんです」とJホラー作品で初めて涙を流したという。
最恐タッグによるJホラーへの挑戦となった映画『サユリ』は、日本公開前から海外メディアからの評価も高く、「白石晃士がジャパニーズ・ホラーの期待に反抗した壮大な集大成」(CINAPSE)、「暗く陰鬱な外見とは裏腹に、大きな高揚感を与えてくれる作品である。この映画を観れば、世界に挑戦する準備ができたような気分になるだろう」(25YL)、「サユリは呪われた家というジャンルで使い古された王道を破り、独自の道を切り開いた」(Desde AbajoDesde Abajo)などと絶賛され、現在、台湾、タイ、ベトナム等含13の国・地域での公開が決定している。
『サユリ』白石晃士監督、「ジャパニーズ・ホラーの期待に反抗した」挑戦を語る
09/02 11:56
- 映画
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