今年3月に国連の委員会(UNSCEAR)から発表された今回の原発事故に関する最新の報告書では、事故後に甲状腺がんが多く見つかっていることについて、恐らく放射線被ばくとは関係がないであろうとコメントしています。
その理由としてこれまでに紹介したものをまとめると、一つは、事故後に見つかっている甲状腺がんの多くが、放射線によるものとしてはあまりに早い時期に見つかっていること。
二つは、事故後に甲状腺がんが見つかっている方の年齢が、放射線の影響を受けやすい小児ではなく、より年上に偏っていること。
三つは、事故後に見つかった甲状腺がんの遺伝子の異常は、チェルノブイリ事故後や広島・長崎での原爆投下の後に見つかっている甲状腺がんの遺伝子の異常とタイプが異なっていること。
四つは、そもそも甲状腺の被ばく量が少ないこと、でした。
その上で、事故後に甲状腺がんが多く見つかっている理由の一つとして、受診後に病院で見つかる患者さんの人数に比べ、症状のあるなしにかかわらず、住民の方全体に広く精密に検査をする場合に見つかる患者さんの人数は増えてしまうことを指摘しています。