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常磐興産が米ファンド傘下に 段階的にTOB ハワイアンズは運営継続

09/10 07:45

米投資ファンドに買収されることが決まった常磐興産が運営するスパリゾートハワイアンズ=いわき市

 米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループが出資する法人が9日、スパリゾートハワイアンズを運営する常磐興産(福島県いわき市)の全株を対象に株式公開買い付け(TOB)を行うと発表した。常磐興産は同日、このTOBに賛同の意見を表明した。常磐興産は同グループの完全子会社として引き続きハワイアンズを運営し、同グループが持つ潤沢な資金力やホテル・レジャー施設運営のノウハウを生かして企業価値の向上を図りたい考え。

 TOBを行うのは「オンタリオ合同会社(東京都)」。10日から実施する第1回のTOBでは現状の約3割増しとなる1株1650円で買い付ける。第2回買い付けは11月1日から行い年度内に全額取得を目指す。常磐興産は上場廃止となる。

 常磐興産によると、ハワイアンズは新型コロナウイルスの5類移行に伴い売り上げを回復させ、2024年3月期連結決算は2期連続の黒字を達成した。しかし、1966年開業のハワイアンズは施設の老朽化が進み、新型コロナの影響などで悪化した財政状況では多額の設備投資を行うことが難しかった。

 昨年6月、常磐興産の取引先金融機関からの紹介を通じて接触してきた同グループは、ハワイアンズの魅力を高める設備投資のための資金を調達可能である旨の申し出をした。

 常磐興産は投資資金を確保できる点、グループのホテル運営のノウハウを利用できる点などを考慮し、子会社になることを決めた。

 中長期的には、少子高齢化によりメインターゲットのファミリー層が減っていくという懸念もあったという。常磐興産は「完全子会社となることが、当社の企業価値の向上に資するものであると考えるに至った」としている。

 「常磐興産」や「スパリゾートハワイアンズ」の名前は変更せず、従業員の雇用条件は実質的に現在と同等以上の条件を維持する予定。ハワイアンズの昨年度の利用客は日帰り93万人(前期比24.4%増)、宿泊37万7千人(同20.8%増)で、コロナ禍前の2019年度との比較で7~8割まで回復している。

     ◇

 常磐興産 常磐炭礦として1944年設立。70年に子会社を合併し常磐ハワイアンセンターの営業を承継、商号を常磐興産に変更した。スパリゾートハワイアンズなどの観光事業のほか、燃料商事事業や製造関連事業などを手がける。

 フォートレス・インベストメント・グループ 1998年設立。不動産のプロフェッショナルを擁する投資ファンド。ホテルやゴルフ場運営も手がけ、今年は宮崎市のフェニックス・シーガイア・リゾートの運営会社に投資した。

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