【金沢~山中温泉】<塚も動け我泣声は秋の風/今日よりや書付消さん笠の露>

03/09 15:00

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芭蕉が8泊し、曽良との別れの地ともなった山中温泉の山中座前の広場。観光客が手を浸しているのは芭蕉の句にちなんだ「足湯 笠の露」の手水台。周辺には公衆浴場として運営される「菊の湯」もある=石川県加賀市山中温泉

 「おくのほそ道」(以下「ほそ道」)の旅も、越後路を抜け、秋の訪れとともに終幕の気配が漂い始める。越中(富山県)、加賀(石川県)を行く、およそ足かけ26日間の紀行文を彩るのは「別れ」である。  1689(元禄2)年7月13日(陽暦8月27日)、市振(いちぶり)(新潟県糸魚川市)をたった松尾芭蕉と河合曽良は、目と鼻の先の境川を越え越中に入った。ここで芭蕉は、久々に歌枕の句を詠む。〈わせの香(か)や分...

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