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【7月12日付編集日記】縄文DX

07/12 08:15

 県立博物館(会津若松市)の学芸員は「東北の中でも福島県は違うよね」と、よく言われるのだという。県民性かなと思ったら縄文土器の話だった

 ▼縄文土器は、1万数千年前から1万年以上続いたともいわれる縄文時代に、日本列島各地で作られた。形や装飾は多様だが、関東や九州など現在の地方区分とほぼ同じ地域ごとに分類されるという

 ▼ところが、研究者にとって県内で出土した縄文中期の土器は、東北南部の土器に分類されても、宮城や山形などとは違うそうだ。例えば磐梯・猪苗代町の法正尻遺跡から出土した深鉢には、大きな4本の突起がある。これは、まさに新潟県などの火焔(かえん)型土器の特徴だ

 ▼類似性は北関東の土器との間にも見られる。つまり県内の土器には、東北の外側の文化が強く影響しているらしい。こうした出土品を手掛かりに、本県周辺の古代の交流を探求する企画展「縄文DX」が、県立博物館で開かれている

 ▼その担当学芸員に説明を受けながら、縄文人たちは何を求め福島を訪れたのだろうと思った。土器のデザインが変化し多様化するほど交流は盛んだったはず。何だかそこに、本県が昔から持つ、ひと味違った魅力も隠されているような気がする。

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