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【7月14日付編集日記】夢二と福島

07/14 08:30

 本県は、画家竹久夢二の足跡が数多く残っている。有名なのは会津の訪問。柳津で風景画をいくつか描いたほか、何度か滞在した東山温泉には「まてどくらせど来ぬ人を」で始まる「宵待草」の詩碑がある

 ▼福島市の県議会議事堂で開いた展覧会は夢二ファンによく知られている。「夢二のモナリザ」と称される代表作でありながら、最近まで百年以上の間行方不明となっていた油彩画「アマリリス」が出品されていたためだ

 ▼岡山出身の夢二がしばしば本県を訪れた背景には、一人の友人の存在がうかがわれる。柳津を訪れた年や議事堂の展覧会の年には、それぞれ船引にも行って、早稲田実業学校で知り合って以来の親友で旧船引町長や衆院議員を務めた助川啓四郎と旧交を温めている

 ▼夢二は船引訪問で画会を開き、自画像などを描いている。田村市図書館の一隅には今も、そのときに描いた作品や、友とやりとりした手紙などを見ることができる「夢二ルーム」がある

 ▼今年は夢二の没後90年。本の装丁でかかわった久米正雄ゆかりの地である郡山市では今秋、本県と夢二の関係を紹介する企画展が開かれる。友人らの育った地でのイベントを、夢二も心待ちにしているに違いない。

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