台風5号の接近に備え、県内各地で10日、果樹農家などが対策に追われた。福島地方気象台によると、本県には12日未明から朝にかけて最も接近すると予想され、各地で厳重な警戒が必要となりそうだ。
福島市飯坂町の果樹農家では、リンゴの枝の重さを支える支柱の点検作業が急ピッチで進んだ。台風で枝が折れたり、実が枝にこすれて傷ついてしまう可能性があることから、作業をしていた70代男性は「完璧ではないが対策しないといけない。何とか収穫期まで耐えてほしい。被害がないことを祈るしかない」と不安げな表情を見せた。
現在はモモの最盛期。「川中島」は収穫期を迎えているが、男性は「(台風接近を前に)収穫を終えたいが、手が回りきらない」と嘆いた。
漁港では船の固定強化
いわき市の中之作港では、漁師らが10日午前までに、船を固定するロープの本数を増やしたり、太くしたりする荒天への準備を済ませた。漁師の男性(65)は9日午前に波の影響が少ない場所に船を移したという。「(台風が)来るのはしょうがないけどね」と話し、被害が最小限になることを願った。
中之作港近くの広場では、東日本大震災後初めてとなる盆踊り大会が13日に予定されており、住民が強風に備え、やぐらをロープで固定する作業を急いだ。準備を進めてきた区長の坂本政男さん(75)は「あとは風がどうなるか」と不安を口にした。
また、いわき市を代表する海水浴場の薄磯海水浴場では、遊泳禁止を告げる赤い旗が掲げられた。10日は波打ち際にも近づかないように求められ、少し離れた砂浜で遊ぶ観光客の姿があった。
イベント、中止や順延に
台風5号の接近に伴い、県内各地でイベントの中止や順延が相次いだ。福島市の福島駅前通りで11日夕に予定されていた盆踊りイベント「ふくしまBON―DANCEフェスティバル」は順延になった。能登半島地震で甚大な被害を受けた「輪島朝市」も出店する予定だったが、安全性を考慮して判断した。11日予定の広野町サマーフェスティバルは12日に順延する。