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「空の目」で能登復興へ 南相馬2社、ドローンで現場調査支援

09/02 07:45

被害状況の把握のためドローンを飛ばすイームズロボティクスの社員=1月17日、石川県輪島市
ハマドリを前に「今後も役に立つような体制を整えていきたい」と語る沼尾さん

 能登半島地震が発生してから1日で8カ月となった。南相馬市のベンチャー2社は被災地の石川県でドローンを使い、災害現場の調査などに取り組み、復興に向けた力となっている。活動したのは「イームズロボティクス」と、「スペースエンターテインメントラボラトリー」の2社。南相馬に本社を構える2社の社員らは「同じ被災地。少しでも役に立ちたい」との思いで能登の復興を見守っている。

 沿岸部、被災漁港を地図化

 「行くしかないという思いだった」。イームズロボティクスの曽谷(そたに)英司社長(61)は決意を固め、現地に入ったのは今年1月上旬だった。国土交通省から依頼を受け、石川県輪島市などでドローンを飛ばした。地震で被災したり、隆起したりした沿岸部の状況を上空から撮影。地図化して、現地で活動する警察や消防などに提供した。

 現場では雨や雪が降る中、担当社員が「プロペラがついたパソコン」と称する精密機器のドローンを飛ばした。また地震で被災して通信環境が悪化したことで画像を送信できなかったり、電子地図の一部が使えなかったりする状況で活動する場面もあった。

 その経験は今後、南相馬でのドローン開発に生かしていく考えだ。曽谷社長は「(災害現場で)ドローンが活用され、官民連携で情報共有できたのは初のケースと思う」とし、「福島も(東日本大震災で)大変な思いをした。何かあった時に迅速に動ける形にしたい」と力を込める。年度中にも発表を予定している雨に耐えられる機体の開発をはじめ、強風や氷点下の環境でも円滑に運用できたり、編隊飛行できたりする機体開発に役立てる考えだ。

 測定データ回収

 「初の災害活動だったが、少しでもお役に立てればとの思いだった」。そう語るのは南相馬に本社を置く「スペースエンターテインメントラボラトリー」の沼尾丈夫マネジャー(41)だ。能登半島の沿岸部で今年1月中旬、水面での離着陸が可能な飛行艇型ドローン「HAMADORI(ハマドリ)」を飛行させ、被災した漁港を撮影して地図化した。

 同社はこのほかに、東京大と連携し、深海底プレートの動きを調べる事業に参加しており、ハマドリの大型機を使い測定データの回収役なども担う。沼尾さんは「今後も役に立つような体制を整えていきたい」と語った。(佐藤健太)

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