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浪江に「日本最大級」競走馬育成施設 27年秋開業へ

08/25 09:15

浪江町に整備される競走馬のトレーニングセンターの完成イメージ図

 浪江町に競走馬を育成する日本最大級のトレーニングセンターが誕生する。最大512頭の馬を管理でき、東日本初の直線1キロ坂路コースを設けるなど調教に必要な設備を整える計画で、運営するBlooming Stables(ブルーミングステーブルス、東京都)は競馬界の発展と浪江の復興に貢献する一大拠点にしたい考え。来年夏に着工し、2027年秋の開業を目指す。

 整備予定地は東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示が昨年3月に解除された末森地区の特定復興再生拠点区域(復興拠点)と大堀地区の一部の帰還困難区域にある農地や山林で、総面積は約41万平方メートル。坂路コースをはじめ、1200メートル周回コースや512部屋の馬房(ばぼう)、16棟の厩舎(きゅうしゃ)のほか、単身世帯向けの従業員寮や社員食堂を整備する。調教トレーナーら従業員は開業時に130人、3年後には160人を雇用する方針。総事業費は約80億円で経済産業省の補助金を活用する。

 センターでは1歳10カ月から競馬デビューまでの馬をトレーニングする後期育成、デビューから引退までレース間に馬の体調を整えたりする外厩(がいきゅう)を担う。主に日本中央競馬会(JRA)が運営する茨城県の美浦トレーニングセンターで調教を受ける馬のトレーニングを手がける。

 ブルーミングステーブルスによると、競走馬の生産頭数は近年、全国で7000頭を超える規模。年々増加している一方で、レースに向けた調教やレース間にトレーニングを行う施設が不足している現状にある。同社は競馬界のさまざまな需要を捉え、常磐道浪江インターチェンジが近くに立地するアクセス性、坂路コースが整備できる勾配ある環境などから、浪江町への整備を決めた。

 浪江町を含む相双地方では国指定重要無形民俗文化財「相馬野馬追」が繰り広げられるなど、人と馬が共生する馬事文化が息づく。吉谷憲一郎社長(47)は「業界のプロフェッショナルを集め、競馬界の発展と浪江の復興につなげたい。馬に関わる人材がさらに根付くことで地域の馬事文化にも貢献したい」と話している。

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