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松川の塔、60年に思い 松川事件「教訓を後世に紡ぐ」 福島で集会

09/15 07:50

講演した村井敏邦名誉教授

 福島県福島市松川町で列車が脱線、転覆し乗務員3人が死亡した「松川事件」を巡り、被告全員の無罪確定を受けて立てられた「松川の塔」建立60周年を記念した集会は14日、福島大などで開かれた。出席者が戦後最大の冤罪(えんざい)事件として知られる松川事件からの教訓を後世に紡ぎ、冤罪のない社会実現に向けた取り組みの重要性を再確認した。NPO法人県松川運動記念会の主催。

 一橋大名誉教授の村井敏邦さんが「松川の塔を訪ねて思い出すこと」と題して記念講演した。一橋大在学中のゼミ旅行で松川の塔を訪れた際の思い出を振り返り、一審、二審いずれも死刑判決を受け、後に無罪が確定した元被告の鈴木信さんが発した「事実を知るものは被告だ、私たちだ」などの言葉を紹介した。

 その上で、無罪判決を受けるまでに重要な役割を果たしたのが司法の判断に対する「おかしい」という市民の声だったと説明した。

 村井さんは、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「世界の記憶」(世界記憶遺産)に松川事件を登録しようと活動している。登録に向けた運動に加え、事件の教訓を残すために資料を保存する必要性も訴えた。

 松川の塔は、当時の被告全員の無罪が確定した翌年の1964年9月12日、事件現場近くに建立された。記念講演後、出席者が松川の塔に移動し、献花した。

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