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「教育と研究、一体で改革」 福島大学長・三浦浩喜氏に聞く

09/14 08:45

三浦浩喜氏

 少子化や国の交付金減少による財政面の悪化など国立大学法人を取り巻く環境が厳しさを増す中、2040年を見据えた「福島大グランドデザイン2040」を打ち出した福島大。三浦浩喜学長(63)に大学を巡る現状や今後の展望を聞いた。

 ―国立大学法人化から20年、福島大の現状をどう見ているか。
 「福島大の場合は法人化とほぼ同時に全学再編を行い、ガバナンスと同時に学士課程も変わるという非常に大きな改革だった。震災と原発事故後には研究、教育の分野や設備が大きく広がった。全学再編から20年、震災から13年が経過し、これらから多くの知見を得た一方で、財政問題の深刻化や少子化など新たな課題も浮上し国立大学法人としての機能維持が困難な状況が現実味を帯びてきている」

 ―国の運営費交付金減少の影響は。一部の国立大が実施している授業料の引き上げは考えているか。
 「学生数も運営費交付金もほとんど変わっていない中、厳しいとは言いながらもこの20年間はほぼ物価も人件費も上がってこなかったから何とか持ちこたえてきたというのが現状だ。今後、物価や人件費は上がるが、交付金は上がるわけではないというのが厳しい。(授業料引き上げの要否については)検討していない。現時点で今後検討していく考えもない」

 ―大学の将来像についてはどう考えているか。
 「激変の時代、柔軟かつ強靱(きょうじん)に大学づくりを進めるためには10年後、20年後を見据えた明確なビジョンが必要だ。形だけの問題ではなく、大学の本質である教育と研究を車の両輪として一体的に進めていくための改革が重要だと考えている」

          ◇

 みうら・ひろき 二本松市出身。福島大大学院教育学研究科修士課程修了。県内の公立中教諭を経て、2008年4月に福島大人間発達文化学類教授に就任。研究教育評議会議員、理事・副学長(教育・学生担当)などを歴任し、20年4月に学長に就任した。

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