国見町が民間企業と共同開発した高規格救急車を貸し出す事業を断念したことを巡り、町が設置した事務執行適正化第三者委員会は13日、調査報告書を町に提出した。報告書は「町と企業の官製談合が行われたとまでは言えないものの、仕様書作成の助言を行った企業が受注することとなったことから、手続きの公正性・透明性を欠くものだった」と指摘した。
報告書では、最先端事業のため町職員だけで全てを計画立案することができず、ワンテーブル(宮城県多賀城市)からアドバイスを受けるようになり、最終的には同社の意のままに事業運営を行っていたとみられても仕方のない状況に陥ったと指摘。事業委託先の公募期間も短く、唯一応募した同社のみが受託したことから、公募期間に余裕を持たせるべきだったとしている。
事業は企業版ふるさと納税で寄せられた約4億3000万円を充てた。報告書は、監査委員や町議会によるチェックが不十分で、使い道も厳しく吟味されなかったと結論付けた。
問題を巡っては、町議会が設置した地方自治法100条に基づく調査特別委員会(百条委員会)も今年7月、引地真町長の政治的責任などを求める調査報告書を可決した。引地町長は13日、町のホームページに「議会特別委員会からの提言と併せ、報告書の内容を真摯(しんし)に受け止め、今後同様の事態が発生しないよう対応していく」とのコメントを発表した。