自民党の石破茂総裁が30日、次期首相として衆院選を「10月15日公示―27日投開票」の日程で実施すると表明したことを受け、県内各市町村の選管は一斉に準備を加速させた。芸術文化活動やスポーツの関連イベントが盛んな時期と重なるだけに、投開票所の確保に苦慮する自治体もある。選挙ポスターの掲示板設置にも発注業務が必要で、担当者は「これから時間との闘いだ」と気をもんでいる。
「秋は大会やイベントがめじろ押し。準備期間がなく、できる範囲で動くしかない」。南相馬市選管の担当者は慌ただしく作業する。
同市の開票所にしてきたまるさん・あったまるアリーナには既にスポーツ大会の予約が入り、市選管は十分なスペースがある別の施設を開票所に使う方針だ。
いわき市では通常開票作業に使う市総合体育館に予約が入り、過去に代わりに使った別の施設にも先約がある状況。市選管は同体育館の使用を「交渉している状況」といい、開票所確保のめどは立っていない。
同市は9月上旬に市議選を終えたばかりで、投票立会人の確保にも四苦八苦している。「(投票)立会人をお願いしたいのですが」。30日午後も市選管職員が経験者らに個別に電話で要請する姿が見られた。
会津若松市でも開票作業で使うことが多い鶴ケ城体育館で26、27の両日に「日本遺産フェスティバルin極上の会津」が予定されており、市選管は開票所を別の場所に変更する考えだ。
「9日に(衆院が)解散され、予算が付いてからでは到底間に合わない。見切り発車で進めていくしかない」。相馬市選管の担当者はため息を漏らす。掲示板について、製作業者から2週間、設置業者からは1週間が必要とされた。解散から公示まで1週間しかなく担当者は頭を抱える。
一方、複数の日程を想定し、投開票所を仮押さえしていた自治体もある。喜多方市選管は市内42カ所の投票所と開票所を仮予約するなど準備を進めてきた。佐藤崇事務局長は「公正公平な選挙になるよう準備を進めていく」と話した。
飯舘、村長選の9日後に公示
東京電力福島第1原発事故の被災地のうち、飯舘村が6日に投開票が行われる村長選の最中で、村役場では期日前投票を受け付けている。村長選の投開票から9日後には衆院選が公示される見通しとなり、村選管は息つく間もなく準備に追われそうだ。担当者は「決まったことに対し、粛々と準備を進めるだけ」と冷静に受け止めた。
17日告示の葛尾村長選は選挙戦になれば27日投開票のため、衆院選とのダブル選になる方向だ。村選管の担当者は「同日選になれば選挙事務の負担は多少軽減される」と話す。ただ、投票所の運営や開票作業などの選挙事務は複雑になることから「二重投票の防止など、ミスには十分注意しなければいけない」と気を引き締めた。