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アートな日常…相双に 第1弾は相馬のレストラン、12日開幕

10/08 07:50

相双アートが開かれる凪茶寮文字島で打ち合わせをする(左から)佐藤さん、小原さん、坂脇さん
屋外に展示する予定の佐藤さんの彫刻「おでかけ」
小原さんが出品する絵画「海を包む森」

 日常生活の場にアートを近づけたい―。美術館やギャラリーではない空間に美術作品を展示するイベント「相双アート」が12日、福島県相馬市岩子のレストラン「凪茶寮文字島(なぎさりょうもじしま)」で初めて開かれる。関係者は将来的に相双12市町村でイベントを同時開催することを構想しており、2年ごとに開かれる美術の祭典「ビエンナーレ」へと発展させたい考えだ。

 もっと身近にアート

 実行委員会の代表を務めるのは相馬市の彫刻家佐藤忠博さん(54)。高校まで同市で過ごし、伝統彫刻の世界に憧れ、富山県の彫刻家宇津孝志さんに師事した。その後、独立して作家活動を続けてきたが、3年前に古里に戻り、市内の空き家を改装して作品制作を継続している。

 相双アートを企画したきっかけは、市内で親子を対象に開いた体験型講座だった。木片を組み合わせて作品を完成させる創作体験を楽しむ参加者の姿を見て「もっと身近にアートに触れられる場所をつくれないか」と考えるようになった。

 開催場所のレストランからは、変化に富んだ景色が楽しめる松川浦でも指折りの景勝地「文字島」が間近に望める。9人の作家が手がけた彫刻や絵画、写真など約30点を店内はもちろん、庭にも配置し、作品と場所が互いに引き立て合う美術空間を目指すという。同レストラン代表の坂脇尚己さん(57)は「作品が展示されることで、自分では分からなかった店の新たな魅力を知ることができるのでは」と期待を寄せる。

 相双アートは地域で制作活動を続ける作家にとって貴重な発表の場であり、刺激を受ける機会にもなる。絵画を出品する小原風子さん(53)=南相馬市鹿島区=は「それぞれ活動している作家が、こうした機会に出会い、豊かなつながりが生まれてほしい」と願う。

 相双アートは14日まで。時間は午前11時~午後4時(最終日は同3時)。入場料500円(飲み物1杯付き)。高校生以下無料。

 次回は2年後、相双地区のいずれかの市町村で開催する予定。佐藤さんは「じっくりと準備して臨みたい。地域の作家の作品が地元の人々を楽しませる。そんなイベントになるよう、育てていきたい」と意気込む。(丹治隆宏)

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