• X
  • facebook
  • line

2700人健康診断へ 郡山結核感染、医療機関職員の「接触者」

10/03 08:15

記者会見する郡山市保健所の郡司真理子所長(左)と坪井会長=郡山市役所

 結核の集団感染が発生した郡山市で、感染者と接触した可能性がある市内外の約2700人を対象に、大規模な健康診断や説明会が行われる異例の事態になった。市保健所と郡山医師会の関係者は2日の記者会見で「発症(発病)と感染では意味合いが違う。落ち着いた対応をお願いしたい」と強調した。

 感染が確認されたのは、関係者34人が集団感染した高齢者施設と、60代男性職員が勤める医療機関の2カ所。このうち、医療機関では9月13日に男性職員の発症を把握した後、市保健所がこの医療機関に出入りした人を同日から3カ月さかのぼって調査したため、約2700人の割り出しに時間がかかり、発表まで半月以上を要した。

 結核の発症は「結核菌」という細菌に感染後、体内で増殖して病気を引き起こし、菌が空気中に吐き出される状態。一方、体内に菌があっても、特に悪い影響を及ぼしていない感染状態では人への感染性はなく、一般に感染しても約8割は発症することがない。

 市保健所によると、市内の結核の発症者はここ数年年間10~20人台で推移。本年度は今回の5人を含め、9月末時点で17人と例年と大きな差はない。ただ、市内での集団感染は2011年8月以来で、市や郡山医師会は感染拡大への警戒を強めている。

 市役所で会見した坪井永保郡山医師会長は「結核は過去の病気ではない。結核を含めた感染症予防対策について今一度考えてほしい」と呼びかけた。新型コロナウイルスなどと同様の予防対策が有効だとし「結核は誰にでも起こり得る病気。市と医師会、医療機関が連携してスピード感を持って対応していく」と語った。

 プライバシー理由に医療機関名公表せず

 厚生労働省や県によると県内で結核の集団感染は19年6月に県北地方の病院で発生して以来。会見では、県民への注意喚起のために対象の医療機関を明らかにするよう報道陣から質問が相次いだが、市側は「関係者のプライバシー保護」を理由に公表しなかった。

 問い合わせは市保健所保健・感染症課(電話024・924・2163)へ。

この記事をSNSで伝える:

  • X
  • facebook
  • line