いわき市出身の作家吉野せいを顕彰する第47回吉野せい賞の選考結果が16日発表され、最高賞の吉野せい賞にいわき市の沢葦樹(あしき)さん(62)の創作小説「カノープスを見ていた少年たち」が選ばれた。主催する運営委員会によると、最高賞の選出は第44回以来3年ぶり。
作品には恒星カノープスに憧れる夏生と、この星を夏生に教えた厚也が登場する。厚也はその後事故で亡くなり、それから20年後に夏生が企画した天文ツアーで厚也の面影がある少年と出会う物語。
一般によく知られていないカノープスに魅せられた人間の世界が描かれ、既視感がなく新鮮で壮大、との理由で最高賞に輝いた。沢さんは「本当にうれしく感激している。自身の信じる作品を作り続ける」とのコメントを発表した。
準賞はいわき市の一橋清高さん(77)の創作小説「災禍」、奨励賞は本宮市の伊藤晴美さん(45)の創作小説「空色チェリー」と静岡県の松井高史さん(77)の創作小説「巣立つ者らが見る夢は」が選ばれた。
小説25点、童話1点、ノンフィクション5点の計31点の応募があった。表彰式は11月2日、いわき市の草野心平記念文学館で行われる。吉野せい賞受賞作品は来年3月発行予定の総合文芸誌「風舎」第19号に掲載予定。