浪江町請戸地区にある苕野(くさの)神社再建への地元住民の思いなどを記録した長編ドキュメンタリー映画「そこにあるべきものたち」の上映会が16日、苕野神社で開かれた。特設スクリーンによる「奉納上映」に地元住民らが詰めかけた。東日本大震災の津波浸水地のため人が住めない「災害危険区域」となった請戸で社殿の再建を決め、心のよりどころを取り戻そうと奔走した住民の思いに触れた。
監督は、震災前にテレビ番組撮影で請戸地区を訪れた板橋基之さん(48)=東京都=が務めた。板橋さんは、津波で流失した神社再建の動きを伝え聞き、関係者を取材。2月に社殿が完成するまでの道のりを通して、伝統芸能の継承に努める住民の思いを作品に収めた。
舞台あいさつで板橋さんは「震災前に撮った映像を使って、再建までの住民の姿を伝えたいと思った。快く引き受けていただいた皆さんに感謝している」と述べた。出演した請戸区長で苕野神社総代長の安倍一夫さん(69)は「請戸の再起に向けた1歩目が神社の再建で、2歩目がこの映画の完成だ。請戸を広く知ってもらいたい」と思いを語った。
上映会は12月14日に南相馬市の朝日座、来年1月18日にいわき市のまちポレいわきB1プラスでも開かれる。料金は千円。詳細は映画の特設ホームページへ。