福島県は21日、2040年の県人口の目標を現行の153万人から147万人に下方修正する人口ビジョンの更新案を示した。将来予想される出生率の低下を反映した。ただ「40年に150万人程度」とする大枠の目標は維持し、転出者が転入者を上回る転出超過を30年までに解消する目標も変えず、結婚・子育て支援や若者の県外流出といった課題への対応を重点的に進める。
福島市で開いた県地域創生・人口減少対策有識者会議で示した。県は12月に地域創生・人口減少対策本部会議を開いて人口ビジョンの更新を正式決定し、年度内に次期総合戦略を策定する。人口ビジョンの更新は5年ぶり。
昨年12月に国立社会保障・人口問題研究所が公表した県人口の推計値と、更新案で示した目標値は【グラフ】の通り。目標値については、転出超過を30年までに解消するとした上で、40年の希望出生率(子どもが欲しい人の希望がかなった場合の出生率)を現行の2.11から1.51に引き下げて算出した。希望出生率は、未婚者が希望する子どもの平均人数が2.54人(19年)から1.72人(24年)となった県民アンケートの結果を基に計算した。
ただ、本県は過去5年間の転出超過が6千人台で推移。23年は6579人と全国の都道府県で4番目の多さとなるなど、計画通りに歯止めをかけられるかは不透明な部分も大きい。
さらに県内では、特に進学や就職による若年女性の県外流出が大きな課題となっている。県は人口ビジョンを踏まえて策定する人口減少対策の次期総合戦略に、女性が働きやすい職場づくりなど働き方改革の推進を明記。結婚や子育て支援、学生らのUターン促進に向けた県内企業の情報発信体制の強化なども盛り込む。また人口減少を見据えた社会機能の維持を図るため、デジタル技術のさらなる活用も進める考えだ。
10月現在の本県人口は174万人で、少子化や転出超過に伴い、この5年間で10万人減少した。内堀雅雄知事も人口減少対策を県政の最重要課題の一つに位置付ける中、県は「現状は厳しいが、目標達成に向けて産官学の連携を強化して取り組みを進めたい」(復興・総合計画課)としている。