国の文化審議会は22日、会津若松市の古川家住宅穀蔵、座敷蔵の2件を登録有形文化財(建造物)とするよう阿部俊子文部科学相に答申した。福島県内の国登録有形文化財(建造物)は273件となる見通し
建築年代は古川家住宅穀蔵が1917(大正6)年、座敷蔵が18年で、いずれも土蔵2階建ての瓦ぶき造り。会津若松市柳原町の銀山街道沿いにある旧米穀商の建物で、穀蔵は戸口や窓に掛子(かけご)塗り扉をつる重厚な外観が特徴で、歴史的な景観の形成に寄与。
座敷蔵は2階座敷に黒柿の床柱を使い、繊細な組子のガラス障子を建てた付書院など良質な造りで、造形の規範となっていることが認められた。現在は展示や催事会場として活用されている。
穀蔵と座敷蔵を所有する古川敏さん(64)=新潟市在住=は「先祖から受け継いだものを次の世代に残したいという思いで手入れをしてきた中での答申だったのでうれしい」と喜びをにじませ「今後もコンサートなどを催し、多くの人に建物の中を見てもらえるようにしていきたい」と意気込みを語った。
室井照平会津若松市長は「大変喜ばしいこと。今後も地域の財産として、地域の活性化、さらには本市の産業や観光につながっていくことを期待する」とコメントした。
答申では本県の2件に加え、札幌市のランドマークのさっぽろテレビ塔や、商売繁盛の神様「えべっさん」の総本社として知られる兵庫県西宮市の西宮神社の本殿など、計24都道府県の建造物129件を登録有形文化財にするよう求めた。
答申通り登録される見通しで、建造物の登録有形文化財は1万4432件となる。登録文化財は国宝などの指定文化財に比べ緩やかな規制で保護する制度で、観光やまちづくりに活用しやすい。