東京電力福島第1原発事故で対策を怠り会社に巨額の損害を与えたとして、東電の株主が旧経営陣5人に総額約23兆円を東電に賠償するよう求めた株主代表訴訟の控訴審第6回口頭弁論は27日、東京高裁(木納敏和裁判長)で開かれ、結審した。判決は来年6月6日。
旧経営陣側と原告側双方の最終意見陳述が行われた。旧経営陣側は、国の地震予測「長期評価」には具体的な根拠が示されておらず「原発の運転停止を命ずるには信用性が低い」と主張。建屋の浸水を防ぐ水密化措置については「津波の規模は想定よりはるかに大きく、水密化をしても事故は防げなかった」と述べた。
原告側は、「長期評価」は選ばれた研究者による知見で信用性は高いとし「経営陣は事故前の社内会義で敷地を大幅に越える津波の到来を予測していた。対策を命じていれば事故は防げた」と主張した。意見陳述した原告代表の木村結さん(72)は「原発を動かす電力事業者には大きな責任が伴う。経営者はその覚悟を持って経営に当たるべきだ」と訴えた。
原告側代理人によると、10月に亡くなった勝俣恒久元会長の訴訟は、一部相続人が相続したという。そのため勝俣氏への判決もほかの4人と同様に言い渡される。