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【1月4日付社説】能登半島地震1年/被災地再生へ息長い支援を

2025/01/04 07:57

 能登半島地震の発生から1年がたった。復旧途上の昨年9月には記録的な豪雨災害に見舞われ、生活やなりわいの再建を見通せない人は多い。災害を風化させず、息長く支援することが重要だ。

 石川県内の地震による死者は昨年12月27日現在、498人に上る。このうち半数超の270人は災害関連死だ。関連死の認定を申請し、審査をまだ受けていない人が200人以上おり、犠牲者はさらに増えるとみられている。

 地震で被災した自宅を建て直す資金がなく、倉庫などで厳しい寒さを耐え忍んでいる高齢者らは少なくない。避難所生活を強いられている豪雨被災者らもいる。

 被災者の心身には依然として大きな負担やストレスがかかっており、健康を損ねる恐れがある。石川県など地元自治体は、支援団体などと連携し、被災者のケアや孤立防止に力を尽くしてほしい。

 石川県では豪雨の影響などで遅れていた地震被災者向けの仮設住宅約6900戸が昨年12月下旬、全て完成した。現在は豪雨被災者向けの仮設住宅の整備が、年度内の完成を目標に進められている。

 住居などの公費解体が完了したのは、全体の見込み棟数の4割ほどにとどまる。作業員を増やすなどの対策が取られているが、地震直後と状況がほぼ変わらない地域がある。液状化被害が深刻な地域では、道路復旧や地盤改良などに5~10年かかるという。

 半島という地理的な要因や豪雨の影響などを考慮しても、復旧の速度が遅い。国は自治体への応援職員や作業員ら人的資源の投下を強化するなどして、被災地の復旧を加速させなければならない。

 火災に見舞われた輪島市の輪島朝市は、近隣の商業施設内で再開した。地元の海産物や輪島塗などを販売する約40店が軒を連ねている。しかし店舗数は地震前の半分に満たず、朝市通りで開かれていた本来の姿を取り戻すには時間がかかりそうだ。

 七尾市の和倉温泉では、組合加盟の21施設のうち4施設が一般客の宿泊を再開した。観光地全体の活気を取り戻すには、さらなる旅館やホテルの再開が欠かせないものの、規模が大きい施設ほど再建計画を描くのが難しい。

 今は休業せざるを得ない事業者が後に続けるよう、先行して再起した能登の事業者を応援することが大切だ。可能な人は本県から能登に足を運んでほしい。

 県内でも量販店や物産展などで能登をはじめとする北陸の品が販売されている。できる限りの行動で復興を後押ししよう。

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