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【3月14日付社説】新幹線の連結外れ/安全重視の対応が最優先だ

2025/03/14 08:05

 東北新幹線はやぶさ・こまち21号が上野―大宮間を走行中に連結が外れ、緊急停車した。昨年9月にも古川―仙台間で時速約315キロで走行中のはやぶさ・こまち6号の連結が外れるトラブルがあった。わずか半年の間に人命に関わる、あってはならない事象が2度も起きてしまった。安全への信頼を揺るがす極めて深刻な事態だ。

 大勢の人を乗せ、高速で走行する新幹線は、何よりも安全性が求められる。国土交通省は重大インシデントに認定し、運輸安全委員会が調査している。JR東日本と国には、徹底した原因究明と再発防止策を求めたい。

 通常は連結を外すよう運転席のボタンを押すと電磁弁が作動し、運転席のレバーが動いて連結が分離する。JR東によると、今回はこまちの車両に何らかの電気的異常があり、誤った指令が出されて連結器が分離する動作を繰り返していたとみられる。

 連結運転を中止している間、運行本数は減便され、山形新幹線の乗客は福島駅で乗り換えが必要になるなど、多くの人に影響を及ぼした。JR東は14日から連結運転を再開する方針だ。連結を外す指令が出されてもレバーが作動しないよう、運転席にある機器を金具で固定するという。

 ただ、電気的な異常がなぜ起きたのか、根本的な原因はまだ解明できておらず、誤作動防止の抜本的な対策も済んでいない。JR東は12日の試験運転で問題がなかったとしているが、連結再開は15日のダイヤ改正を踏まえた対応のようにも見える。わずか1週間での再開は拙速感が否めない。

 昨年9月の連結分離は、運転台のスイッチにあった金属片が原因となり、電気回路がショートして誤作動が起きた。今回は原因が異なるとはいえ、JR東は昨年9月のトラブル以降、全ての車両を点検するなど、再発防止に万全を期していたはずだ。

 新幹線の高速化が進む中、連結運転自体にリスクはないか、列車の構造や安全対策に問題はないかなど、さまざまな課題を洗い出して早急に検証し、その過程や結論を明らかにしてほしい。

 JR東に限らず、多くの鉄道会社で人員不足などが指摘されている。このため自動改札機やIC乗車券の導入、窓口の閉鎖などを進め、コスト削減も図っている。

 それでも最も重要な鉄道の運行で効率性やコストを優先し、安全が軽んじられることはあってはならない。車両や設備などの保守管理の体制などについても再確認する必要がある。

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