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【3月26日付社説】教団への解散命令/反社会性を裏付ける決定だ

2025/03/26 08:00

 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の反社会性が司法の場で改めて裏付けられた。

 東京地裁はきのう、高額献金や霊感商法の被害の訴えが相次ぐ教団に対し、宗教法人法に基づき解散を命じた。悪質な献金集めなど民法上の不法行為について、争点となっていた解散要件の「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」に当たると判断した。

 地裁決定は、不当行為で1500人超、合計約204億円に上る「類例のない大規模な被害が生じた」と指摘した。被害の申告は最近まで続いており、不当行為の問題は根深く残っているとした。

 高額の献金被害を多くの信者に負わせ、そのために関係が崩壊するなどした家族らは少なくない。民法上の不法行為でも、解散命令の要件が満たされることを示した決定の意義は大きい。

 教団は、民事判決などで不当な勧誘が法令上許されないとの判断を繰り返し受けながら、現在まで不十分な対応に終始してきた。決定は「教団に改善を期待するのは困難」とし、「解散を命じるのはやむを得ない」と結論付けた。

 地裁決定について教団は「誤った法解釈に基づいて出された結果であると言わざるを得ず、当法人としては到底、承服できるものではありません」とするコメントをホームページに掲載した。新たなトラブルは皆無に等しいなどとする主張も繰り返した。

 教団には、自らが生み出した被害に真摯(しんし)に向き合おうする姿勢が欠如している。解散命令は不当行為を改められない組織体質が招いたものと自覚すべきだ。

 教団は決定を不服とし、東京高裁に即時抗告するとしている。司法判断の確定に向けて課題に挙げられているのが、被害者の救済に充てる財産の保全だ。

 教団の監視は既に一定の強化が図られてはいるものの、これまで国は財産隠匿の恐れが認められないなどとして、より踏み込んだ監視が可能となる「特別指定宗教法人」への指定を見送ってきた。教団の動き次第では、直ちに特別指定の手続きに入る必要がある。

 全国霊感商法対策弁護士連絡会は、22日に発表した声明で、教団による「清算手続きへの抵抗や不協力などさまざまな困難が伴うことが想定される」と指摘する。清算人の権限を強める立法措置などを国に求めている。

 高裁の審理は長期化が予想されるが、悠長に構えていられまい。国は、先手を打ち、被害者救済の枠組みを強化することが重要だ。

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