インターネットを利用できるスマートフォンなどの機器は、社会生活に不可欠なものとなっている。誤った使い方をすれば、生活に欠かせない車や刃物も凶器となりかねないように、ネットも、自分自身や誰かを傷つける恐れを併せ持っている。子どものうちから正しい使い方を身に付けさせることが重要だ。
県、県教委、県警が合同で実施した、児童生徒のインターネットの利用状況などを調べる「ふくしま情報モラル診断」で、年齢が上がると、勉強以外でのネット使用時間が延びる傾向があり、高校生は3時間以上の利用が2割を占めた。動画視聴が主な目的という。
子どものネットの長時間利用は、睡眠時間や勉強の時間が短くなることで、生活リズムの乱れや学力の低下などが懸念される。
ネットの主な利用手段としてスマホを使っているのは小学生で2割、中学生は8割、高校生で9割を超えている。県警によると、交流サイト(SNS)が絡む犯罪被害で、その発端の9割が子ども側の投稿とのデータがある。
県の担当者は「適正な使い方を覚えずにいると、悪影響を回避できない恐れがある。学校ではタブレットなどが一人一台配備されており、スマホを持たせないというのが現実的ではなくなっている」と指摘する。ネットの利用が社会生活で不可欠である以上、その危険性はあらかじめ知っておくことが必要だろう。学校の授業などを通じて、適切に利用するための方法を習得させてもらいたい。
子どもがネットを使うのは、学校よりも、家に帰ってからの時間が中心だ。依存などの悪影響から遠ざけるためには、保護者が子どもの利用をどうコントロールするかが鍵を握る。
現代の子どもは幼い頃からデジタル機器に触れており、使いこなす能力が高い。保護者に求められるのは、ネットやスマホについての知識を身に付け、子どもが何をしているのかを把握できるようにすることだ。
使う場所をリビングに限る、使用してよい時間などについてルールを決めるのは最低限の取り組みだろう。保護者もそのルールを守って生活することで、子どもの手本となるべきだ。
不適切なサイトへの接続などを防ぐフィルタリングソフトは子どもが高校生になると利用率が急に低下する傾向がある。ソフトが適用されているかを定期的に確認することが大切だ。保護者が見守っていることを示して、適切な利用につなげてほしい。