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【6月25日付社説】参院選日程決まる/物価高解決の論戦につなげ

2025/06/25 08:05

 参院選が7月3日公示、20日投開票で行われることが決まった。各党は実質的な選挙戦に入るが、22日に投開票された東京都議選の結果を受け、公約の精査や追加が行われる見通しだ。各党は有権者が政治に求めるものは何かを見極め、参院選での充実した政策論争につなげてもらいたい。

 都議選は、有権者の動向が国政選挙と連動する傾向にある。投開票の結果、小池百合子知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファ

ーストの会」が第1党となった。自民党は大幅に議席を減らし、公明党は全員当選を逃した。立憲民主党は勢力を伸ばしたが、都議会構成の一新には至らなかった。共産党は議席を減らした。国民民主党と参政党は初の議席を得た。

 都議選は、「政治とカネ」の問題が不透明なまま放置され、物価高で生活の負担感が増しているにもかかわらず解決策が見えない状況で行われた。各党は、それぞれの説明責任や政策の評価が議席の増減に結び付いたと自覚し、政治不信の払拭や国民生活の向上につながる参院選公約の磨き上げに取り組むことが重要だ。

 共同通信社が都内の有権者に行った調査では、取り組んでほしい政策の上位を「物価高対策」や「景気や雇用」が占めた。各党は参院選の前哨戦として、国政課題の給付や減税などの政策を訴えたが、有権者は負担軽減の多寡に応じて投票先を決めたわけではなさそうだ。各党には一時しのぎではなく、社会経済の現状を変える政策の提示が求められている。

 都民ファが議席を伸ばしたのは、有権者による小池都政への信任という意味にとどまらず、既存の国政政党への不満の表れとみることができる。各党は、受け皿になることができなかった原因についても分析することが必要だ。

 近年の選挙では、真偽不明な情報の交流サイト(SNS)での拡散が課題になっている。都議選でも若者や無党派層への浸透の手段としてSNSが活用されたが、偽情報の拡散には具体的な規制はないままだ。各党は選挙戦が過熱し、候補者や陣営のネット上の情報発信が他者の名誉毀損(きそん)や選挙妨害とならないよう自重すべきだ。

 参院選は通常、政権の「中間テスト」の意味合いを持つとされる。ただ、衆院は与党が少数で野党の協力なしに法案が可決できない状況だ。今回の参院選は、その結果が政権の進退や枠組みの変化を促す「政権選択選挙」の色合いを帯びている。有権者は、国政の課題解決につながる政策を掲げる政党はどこかを見定めてほしい。

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