どの政党に今後の国会のキャスチングボートを握らせるのか―が最大の焦点だ。
参院選が公示された。福島選挙区は、自民党の現職、立憲民主党、参政党、諸派、無所属の新人4人の計5人が立候補し、改選の1議席を争う。
同区の第一声では、政権を握る自民、野党第1党の立民の応援弁士がいずれも今回の参院選を政権選択の選挙と位置付けて、支持を呼びかけた。政権選択選挙は一般的に、解散により直近の民意を反映でき、首相の指名で優先される衆院の選挙のことを指すが、衆院で与党が過半数割れしているのを受けての訴えだ。
石破茂首相は参院選の勝敗ラインとして、非改選を含めて自公が過半数の125議席を維持できる50議席を掲げた。これは改選前の勢力を16下回る議席数だ。衆院に続いて参院でも過半数を割れば、政権運営はさらに難しくなり、政局の流動化も不可避となる。与党の目標議席は、政権維持に最低限必要な数を示したものだ。
各政党には選挙後を見据えた責任ある主張を展開し、有権者に投票先を判断する材料を示すことが求められる。
国政は人口減少などの長年の課題に加えて、コメの高騰を含めた物価高、米国との関税交渉など、さまざまな難問に直面している。各党がそれぞれの課題にどう対応しようとしているのかを、公約や街頭での訴えなどを通じて見極めることが大切となる。
衆院選後に自公が与党にとどまったのは、野党がまとまらなかったことが大きかった。その状況は変わっていない。衆院では自公が一部野党の掲げる政策を受け入れたり、議案を修正したりするなどして乗り切ってきた経緯がある。
日本記者クラブがおととい開いた党首討論会では、日本維新の会が政策課題に応じて与野党それぞれ連携していく考えを示し、立民が呼応する場面があった。衆院の各党勢力を踏まえれば、今後も各党が連携する場面はあるだろう。連携が単なる数合わせとならないよう、各党にはどの政策を重視し、実現を目指していくのか、責任ある主張が求められる。
きょうから期日前投票が始まる。棄権や白票は国政や政党に対する不信を示すとの考えもあるが、実際は政治に無関心な有権者と区別できない。国の未来を白紙委任しているのと同じだ。どの候補者、政党にこの国の未来を託すか、あるいは託すべきではないかをこの17日の間に考え、必ず投票してほしい。