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【7月5日付社説】参院選・政治改革 不正をどう断つか道筋示せ

2025/07/05 08:05

 世論の厳しい批判にさらされても、遅々として進んでいない。改革は瀬戸際にある。いかにして不正を断つのか、各党がその覚悟と手だてを示すべきだ。

 昨年秋の衆院選に続き、政治改革が争点の一つになっている。自民党の派閥裏金事件に端を発した「政治とカネ」の問題を受け、衆院選後の臨時国会で政治資金規正法が改正され、使途公開不要な政策活動費は全廃された。しかし、金権政治や癒着の温床とされる企業・団地献金の扱いには、各党の考え方にいまだ隔たりがある。

 自民は、企業・団体献金と裏金事件は関係がなく、憲法で政治活動の自由が認められているのに全面禁止は行き過ぎとの立場だ。公明、国民民主も透明性向上を図った上で存続を求めている。

 一方、立憲民主党や日本維新の会など野党5党派は禁止を主張する。先の通常国会では終盤まで議論を重ねたが、一致点を見いだせず結論は先送りされた。

 これでは政治改革への熱意に欠けているとの批判は免れない。選挙での論戦を経て、国民が納得できる結論を見いだす責任がある。

 参院選公約で、自民は政治資金の透明化と厳正な法令順守の推進を掲げる。党総裁の石破茂首相は企業・団体献金について「廃止すれば公費への依存度が高まる。お金に左右されない政治をさらに目指す」としている。

 公明は透明性の向上と規制の強化、国民民主は政治資金の受け手規制、違反した議員の厳罰化などを公約に盛り込んでいる。

 立民と日本維新は、企業・団体献金の禁止のほか、政治資金パーティー券の企業・団体による購入禁止などを主張する。共産は、政党助成金制度の廃止も訴える。

 これまで各党が主張してきた内容とほぼ変わりがなく、このままでは停滞した議論の前進は期待できない。参院選後に速やかに実現するための具体的な道筋を示し、有権者の審判を仰ぐ必要がある。

 政治とカネを巡る問題は、収入の在り方を見直し、透明性を高めるだけでなく、使い道についても改善を急がなければならない。いかに支出を抑え、健全な政治活動を担保していくかについても各党や候補者に論戦を求めたい。

 政治改革は政治資金の問題にとどまらない。各党は人口減少に伴う選挙制度の見直し、女性や若者の政治参画の推進などを公約に掲げており、いずれも国会で議論を急ぐ必要がある。改革が停滞している現状に、有権者が厳しい視線を向けていることを各党、候補者は自覚しなければならない。

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