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【7月26日付社説】危険な暑さ/夜も油断せず冷やす対策を

2025/07/26 07:58

 自分は大丈夫だろう―という油断が最大のリスクになる。離れて暮らす家族などにも注意を呼びかけ、命を守ることを最優先にした行動を徹底したい。

 梅雨明けした県内は連日、各地で体温を超えるほどの危険な暑さに見舞われている。伊達市梁川では24日、7月としては観測史上最高となる39・3度を記録した。

 猛烈な暑さとともに、熱中症の疑いで医療機関に搬送される人が増えている。県によると、20日現在、県内で救急搬送された人は706人と、昨年の同時期を240人も上回っている。なかには3週間以上の入院が必要な重症の人がいる。福島市では昨日、熱中症の疑いで亡くなった人もいる。

 熱中症は高い温度、湿度の中で体温の調節機能が不全となり、体温上昇や目まい、けいれんなどの症状を起こす。炎天下の屋外だけでなく、建物の中でも発症の恐れがある。県内では住居など屋内から搬送された人が半数を占める。

 最高気温が35度を上回る猛暑日などは、夜間も気温が下がりにくい傾向にある。日中に体力を消耗したと感じた時は、夜間も不要な外出を避け、意識して水分や塩分を補給することが大切だ。

 就寝中の室温の管理にも注意が必要になる。28度を超えると、就寝中でも熱中症のリスクが高まるとされる。暑さで寝苦しく、何度も目を覚まして睡眠の質が低下すると体や脳が十分に回復せず、日中の熱中症のリスクだけでなく、事故などの危険性も高まる。寝る前に必ず水分を補給し、寝室ではエアコンや扇風機を一晩中稼働させ、快適な環境で質の高い睡眠を取ることを心がけたい。

 県内で今年搬送されている人の4割以上が75歳以上だ。高齢者は暑さや喉の渇きに対する感覚が弱まり、熱中症の初期症状など、体の変化に気付くのが遅れがちだ。エアコンの利用を控える人も多いことなどが、高齢者が発症しやすい要因となっている。

 特に警戒しなければならないのは、周囲に頼れる人のいない1人暮らしの高齢者だ。単身で生活していると、食事の回数や量が減る傾向にあり、さらに暑さで食欲が落ちると栄養や水分が不足し、熱中症のリスクが高まる。

 高齢者宅などに家族や親戚が定期的に訪ねたり、小まめに電話などで生活状況を確認したりして、食事や水分の補給、エアコンなどの活用を促してもらいたい。数字で表示され、認識しやすい温湿度計を部屋に設置することで、日ごろから気温や室温などに気付きやすくするなどの対策も有効だ。

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